- 私は、大学卒業後、派遣社員として就職し、今の派遣先で、派遣社員として長く働きたいと思っていた矢先、その派遣先から正社員としての雇用を打診されました。派遣契約期間満了前でもこのオファーに応じても大丈夫でしょうか?
- 派遣社員は、派遣元の人材派遣会社と一定期間の雇用契約を結び、派遣先企業で 派遣社員として働きます。 人材派遣会社は派遣先企業と派遣契約を結んでおり、派遣労働は二重の契約関係が 成立していることになります。 派遣契約期間の途中に、派遣先が派遣社員を正社員として直接雇用することについては、 原則やむを得ない理由がない限り認められないとされており、冒頭のような例は、 「やむを得ない理由」となる可能性は低く、派遣社員と派遣先は契約違反として 派遣元から損害賠償を請求される可能性があります。 ただ、団塊世代の大量退職などもあり、企業において正社員雇用が一部で拡大する中では、 派遣社員も、不安定な派遣社員より正社員になることを望む人が多く、派遣先企業から 「すぐ直接雇用したい」との要望があった場合、派遣会社は、直接雇用後の年収の 一定割合を「紹介手数料」として派遣先から受け取り、契約を解除するケースもあります。
契約期間が残り少ない場合は、派遣先企業に契約満了まで待ってもらうことが
多くあります。当初から派遣先での就職を目指す場合には、2004年に法整備が
なされた「紹介予定派遣」制度があります。同制度は一定期間(最長6カ月)
派遣社員として働いた後、派遣先企業・派遣社員双方が直接雇用を望めば
認められます。ただ、厚生労働省の調査によれば、紹介予定派遣で直接雇用に結びついたのは
約6割にとどまっています。一定期間経過後の直接雇用は派遣先企業の義務ではなく、
必ずしも直接雇用に結びつくとは限らないので、派遣労働者は注意が必要です。