- 私は、派遣会社から派遣されて、某食品メーカーで働き始めた派遣販売員ですが、スーパーの店頭でその食品メーカーの商品をお客様に推奨する仕事に就きました。ところが、スーパーの売り場担当者から、当該会社の商品のほか、他社商品の陳列までを手伝うように指示されました。私が、その指示に従うことは、法律上問題がないのでしょうか?
- 労働者派遣法の規定では、派遣元の人材派遣会社が労働者を雇い、
派遣先の事業主と労働者派遣契約を結ぶことで、派遣先は派遣労働者に
指揮命令をすることできます。
上記事例では派遣労働者が派遣先(食品メーカー)からさらに別の
事業者(スーパー)に送り込まれています。派遣先が派遣労働者を別の
事業者に再び派遣するのは、職業安定法が禁じるいわゆる「二重派遣」です。
ただ、厚生労働省は、「小売店が場所を貸すだけで、派遣販売員が
派遣元の販売員メーカーの指示だけに従い、商品を推奨しているなら問題
はない」としています。
二重派遣に当たるか否かは、勤務場所より、出向いた先の従業員らが
何らかの指示を出したかどうかで判断されます。この観点からみると、
上記事例では、派遣労働者が食品メーカーの指示にない陳列業務などを
命じられており、二重派遣に当たる可能性が大だろうと思われます。
従って、派遣労働者はこのような指示について断わることができます。
自分の雇用への悪影響が不安な派遣社員が派遣元に相談することがあります。労働者派遣法は派遣元の責任者に労働者からの苦情への対応などを
義務付けています。状況が改善されなければ各都道府県の労働局に相談
することも可能です。労働局は事実関係を確認、違法行為には是正指導
します。派遣先などに職業安定法違反があれば、1年以下の懲役もしくは100万円
以下の罰金が定められています。ただ、実際には指導段階で改善され、
告発に至る例はまずないようです。
二重派遣を巡るトラブルは労働局などへの相談によって解消されることも多く、
裁判例もほとんどないようです。
厚生労働省も「それぞれの契約内容にもよる」としており、個別判断が必要な
ようです。◆ポイントは?
①勤務場所が異なるだけでは二重派遣とまではいえない。
②派遣先の指示に従うだけなら問題はない。