試用期間中の期間延長は、法的に問題ないのだろうか?

当社は「試用期間は3カ月」と就業規則に定めてありますが、「もう少し様子を見たい」などとの理由で試用期間を延長することもあるのですが、法的には問題ないのでしょうか?
入社後の一定期間、新入社員に試用期間を課す会社は多くあります。
然し、期間満了後に昇給等があるなど、試用期間中と試用期間後の処遇が
相違する場合が多く、試用期間の延長は、労働者にとって、
「期待した額の給料が貰えなかったり、地位が不安定になったり」と、
一般的には不利益となります。

試用期間について、労働基準法などの法律に規定はありません。
試用期間は、主に書類や面接では判断できない新入社員の能力や適格性など
を会社が見極めるための期間とされますが、その長さは会社によって様々です。

では、実際に期間延長は認められるのでしょうか。判例などから、通
常は、次ぎのように、
「延長する特段の事情が会社側にない限り、原則としては、認められない。
また、何らかの理由で例外的に試用期間を延長する場合も、必ず期間満了前に
本人に告知する必要がある。」と労働者有利に解されています。

然し、とは云っても、労働者側の勤務態度や能力に大きな問題がある場合等、
例外的に期間を延長するケースがあります。
その場合、延長の可能性を就業規則で明示しておくべきか否かは
専門家の見解も分かれています。

不意の延長は労働者の不利益になるので、延長の可能性や理由、期間を
就業規則などで明示する必要があるとする考えがある一方で、
最初の試用期間で不適合と判断されれば、会社側は解雇も可能なので、
試用期間の延長には、もう一度労働者に機会を与えるという“敗者復活”的
側面もあり、明示しておかなくても可という考えもあります。

尚、試用期間中の従業員であっても、雇用した日から14日を越えて引き続き
勤務していれば、解雇予告が必要となります(労働基準法21条)。

これは、いつ解雇されるかわからない不安定な状況が労働者に長期間続くことは
酷であるためです。
したがって、就業規則で試用期間を「3カ月」とか「6カ月」と定めていても、
雇用した日から14日を越えていれば、解雇予告制度が適用になりますので、
注意が必要です。