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- 弊社では採用時に身元保証書を徴求していますが、今年4月の改正民法の施行に伴い、身元保証書の内容も変更しなくてはいけないと聞きましたが、どういうことでしょうか?
- 素性や経歴を保証するとともに、従業員が会社に何らかの損害を 与えた場合に連帯して賠償してもらうため、入社時には身元保証人 を立ててもらっている、という会社は多いのではないでしょうか。 そのような会社では、4月以降「身元保証書」の見直しが必要となります。 2020年4月より、「個人保証人の保護の強化」を目的として、 極度額(上限額)の定めのない個人の根保証契約は無効とされます (改正民法465条の2)。 入社時の身元保証契約は、従業員が会社に損害を与えた場合に 本人と連帯してその賠償を行うという連帯保証契約であり、保証人に とっては、従業員が、いつ、どのような責任を負うのかを予測すること ができないことから根保証契約に当たります。そのため、身元保証契約 を締結する際には、賠償の上限(極度額)を定めておかなければなりません。 極度額の定め方については、例えば次のように、これまでの身元保証書に 極度額を追加することが考えられます。 ●「同人の身元を保証し、同人が貴社に損害を与えた場合、貴社が被っ た損害を賠償する旨確約します(極度額○○○○円)。」 なお、実務上は、「極度額をいくらにするか」が問題となるでしょう。 損害に対するリスクヘッジという観点からは、あまりに低額とすると 実効性がなくなりますし、一方であまりに高額としてしまうと、連帯保証人 が躊躇する等で手続きが進まないおそれもあります。 具体的に金額を明記するのが(「極度額は1千万円とする」等)ベスト ですが、例えば「極度額は補償請求時の従業員の月給の○○か月分 とする。」などと定めることも考えられます。 身元保証を求める会社は多いですが、実質的には形骸化している ケースも数多くあります。 今般、法改正により対応を求められていることを機に、貴社にとって 身元保証契約を結ぶことが本当に必要であるのかどうか等を 再検討してみては如何でしょうか (2020年2月26日)