- 私は派遣社員ですが、派遣先企業の上司に 食事に誘われ、“交際してくれ”としつこく口説かれています。きっぱり断わりましたが、 その後も度々交際を迫られ、非常に苦痛です。 私は、派遣先企業に上司の懲戒処分を求めましたが、“文句は派遣元に言ってくれ”と、 まともに取り合ってくれません。 このような場合、どうしたらいいのでしょうか? ?
- 派遣社員に対するセクハラ(性的嫌がらせ)防止をめぐっては、 労働者派遣法47条の2に基づき、「雇用管理上必要な配慮」が派遣先に義務付け られていますが、 企業が具体的に何をしなければならないかは明示されていません。
そのため、立場が弱いとみられがちな派遣社員はセクハラの標的となりやすく、
トラブルを問題にしても、逆に「派遣期間の満了」という形で派遣契約が
解消されるということがたびたび起こっていたようです。今年4月1日施行の改正男女雇用機会均等法では、セクハラ対策が強化
されました。セクハラを懲戒事由として就業規則に盛り込んだり、相談窓口を設けたりする
など、セクハラ防止に必要とされる具体的な措置が企業に義務付けられました。行政の是正勧告に応じない場合は企業名が公表されるなど、処分も厳しく
なりました。また、厚生労働省は、性差別の具体例や対策を示した「指針」を示し、
派遣元だけでなく、派遣先についても派遣社員を雇用する事業主とみなす
こととされました。これにより、派遣先も、「派遣元の問題」とは言えなくなります。
また、セクハラ問題を相談したことによる派遣契約解消などの不利益取扱い
も禁止されます。派遣社員へのセクハラでは、泣き寝入りする被害も少なくありませんでしたが、
上述の法改正で救済の間口が広がりそうです。
とはいえ、相談窓口の設置など、形式だけを整えて実際に機能していない
ケースも多いようです。相談窓口が人目につく場所にあり、相談者のプライバシーが守られないため、
なかなか利用できないといった事例もあります。
「仏作って魂入れず」にならないよう、企業側の意識が問われそうです。ポイントは、以下の通りです。
1.厚生労働省の指針により、派遣先企業が派遣労働者の事業主扱い
になる。
2.企業が防止措置をとらない場合は、使用者責任を問われることになる。