仮眠中は労働時間ではないの?

私は、泊まり勤務のある職場に勤務していて、泊まり勤務の日は職場の仮眠室で仮眠をとり、緊急時に起きて業務に対応しています。その場合、会社側が「仮眠時間は労働時間ではない」として、時間外手当などをもらっていません。本当に仮眠時間は労働時間にならないのでしょうか?
労働基準法には、どのような時間が労働時間に該当するのかを 定義した規定はなく、朝礼、着替え時間、待機時間など、 実作業を伴わない時間が労働時間に該当するかどうか、 裁判で争われた例も多くあります。 着替え時間などの扱いをめぐる2000年3月の三菱重工業長崎 造船所訴訟・最高裁判決で、「労働時間とは、労働者の行為が 使用者の指揮命令下に置かれたものと評価できるか否かで客観的 に定まるもので、労働契約、就業規則、労働協約などの定めに より決定されるべきものではない」と判示されており、 この判断が現在のところ一般的であり、学説上も評価されて いるようです。 つまり、仮眠時間であっても仮眠室にいることが義務付けられて いるなど、場所的拘束力を受けていたり、何かあれば対応しなければ ならなかったりするような状態にある場合は、使用者の指揮命令下に あり、労働基準法上の労働時間に該当するとされるでしょう。 仮眠時間が労働時間とみなされた場合には、労働契約に基づいて 「宿直手当」などが支給されていても、法定時間外・深夜の割増賃金は 労働基準法上の権利として、別途、さかのぼって請求されることが あります。会社側は仮眠時間について、稼働時間が少ないなどの 理由により通常の基礎賃金よりも少ない時間単価を設定することは 可能ですが、時間外割増賃金分としては通常の基礎賃金の25%以上を、 深夜であればさらに25%以上を割増した金額を支払う必要があります。
(12年4月25日)