住宅手当と割増賃金

当社では、住宅手当として賃貸住宅の者に1万5千円、持家の者に3万円を定額で支給しています。このような場合に、住宅手当は割増賃金の計算の基礎に含めなくても良いのでしょうか?
割増賃金の計算の基礎から除くことができる住宅手当とは、住宅に要する費 用に応じて算定される手当です。ご質問のように住宅の形態ごとに一律で支給されるものはこれには該当せず、割増賃金の計算の基礎から除くことはできません。住宅に要する費用とは、賃貸住宅については、居住する住宅の賃借のために必要な費用、持家については、居住する住宅の購入、管理等のために必要な費用があたります。
また、費用に応じた算定とは、費用に定率を乗じた額とすることや、費用を段階的に区分し費用が増えるにしたがって額を多くするものなどです。
<割増賃金の計算の基礎から除くことができる住宅手当の例>
・賃貸住宅居住者には家賃の一定割合、持家居住者にはローン月額の一定割合を支給 するとされているもの
・家賃月額10万円までは1万円、家賃月額10万円超15万円までは2万円、家賃 月額15万円超は3万円を支給するとされているもの  …など
<割増賃金の計算の基礎から除くことができない住宅手当の例>
・賃貸住宅居住者には1万円、持家居住者には2万円というように住宅の形態ごとに 一律で支給するとされているもの
・従業員全員に一律定額で支給するとされているもの  …など 住宅手当の他に割増賃金の計算の基礎から除くことができる手当には、この他に家族手当、通勤手当、別居手当、子女教育手当、臨時に支払われた賃金、1ヶ月を超える期間ごとに支払われる賃金がありますが、本件のように、労働基準法では手当の名称の如何を問わず実質によって取り扱われることになりますので、ご不明の節は当事務所にご相談ください。