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- 在職中に転職先を決めていた当社社員が、転職先の企業の経営状況悪化等を理由により、当社に提出していた「退職願」を撤回したいと申し出てきましたが、どのように対処したらよいのでしょうか?
- 退職の申出には、労働者側から一方的に労働契約を解消する解約告知としての 「退職届」と、労働契約の合意解約の申込みとしての「退職願」の 2つのケースがあります。 前者の「退職届」の場合、基本的に撤回することはできませんが、 後者の「退職願」の場合は、撤回できる場合があります。この「退職願」 の場合の退職の効果については、会社の承認や承諾により発生するものとされ、 会社の承認や承諾がなされて合意退職が成立するまでの間は撤回ができるもの と考えられているからです。 従って、労働者が「退職願」を直属の上司に提出したものの、上司がそれを 預かったまま人事部長など決定権のある人へ決裁を上げていなかった場合は、 撤回できる可能性があります。 「退職願」を受け取った者が承認の権限を持つかどうか、そして、それを 正式に受け取ったのか、預かりで受け取ったのかが撤回できるかどうかの 決め手となります。 労働者が「退職願」を提出した後、会社がそれを「承認された状態」なのか 「預かりの状態」なのかを曖昧にしておくと、すでに新たな労働者の採用を 決めていたケースなどで、労働者から「退職願を撤回したい」と申出があった 場合にトラブルに発展する可能性があります。 「退職願」を受け取った場合、会社としては、承認や承諾をして合意退職が 成立した時には、「退職願」を受理し、『承認しました』という意味の通知書 などを作成して労働者に渡すことによって、「退職願」を撤回することは できないと労働者に示すことができます。 何事もトラブルが起こってから対応するのではなく、予測されるトラブルを 未然に回避する方策を考えておくことを、常に意識しておきたいものです。
(12年1月26日)