給与の締め日と支給日を変更した場合の注意点

当社では今まで給料は20日締めの25日払いでした。しかし、社員数も 増加し、これではこの時期は給料計算業務以外に手が回らなくなってきてしまいました。そこで、支払いを翌月5日に変更しようと思います。その時の注意点は何かありますか?
(イ)まず、一番大切な事は、会社側の一方的な都合で強引に推し進めない事です。”支払日を変えるだけで、賃金を支払わないわけではないのだからいいではないか”と社長さんは考えられるかと思います。然し、従業員の中には給料日に合わせて、ローンを組んでいる方もいらっしゃいます。また、支給日にあわせて、多額の出費を予定されていた方もいらっしゃるでしょう。必ず、従業員に変更の理由などをしっかり説明し、理解を得ておくべきです。この事をおろそかにすると、従業員のやる気の低下をもたらす要因になってきてしまいます。
(ロ)次にすべき事は、就業規則または、賃金規定などの改定です。就業規則は、会社の法律とも言うべきものなので、改定を怠ると、後々労使間でのトラブルの原因になる事があります。その後は移行過程の話になってきます。移行過程での注意点は、法律上のルールをクリアする事です。労働基準法には、賃金の支払いの5原則というルールがあります。この中のひとつに「賃金の毎月払いの原則」というのがあります。字の通り、毎月最低でも1回は賃金を支払わなければならないというものです。前述のルールに乗っ取って移行していくためには、最初の月だけ賃金の締め日を2回にする方法がよいかと思われます。たとえば、 3月21日から4月10日で一度賃金を締め、従来どおり25日に支給する。そして、4月 11日 から20日分を5月5日に支給するのです。そうすれば、労働基準法上のルールにも乗っ取り、スムーズな移行が可能でしょう。然し、従来の支給日には、現行の半分の賃金しか貰えない事になりますので、特別な事情がある方には、融資をする等の援助制度を設ける事も必要かと思われます。