パート社員にも退職金は支給しないといけない?

当社は、パート社員が正社員の2倍以上もいますが、通例は2~3年で退職する為、就業規則に定める退職金支給要件の”勤続5年以上”という要件を満たす人は、今までいませんでした。然し、近年の就職難によりパート社員も長期間継続勤務する様になり、継続勤務5年を過ぎたパート社員が、近々退職することとなり、退職金を請求してきました。会社としては、過去パート社員に退職金を払った前例もなく、また就業規則にも「社員に・・・」と謳っているので、支払う義務はないと考えましたが、それで正しいでしょうか?尚、当社の就業規則は、社員によって特に区別していません。
貴社は就業規則を社員によって区別していないので、同一の規則が全社員に適用されることとなります。従って、”貴社は、このパート社員に退職金を払う義務がある”ということになってしまうのです。就業規則は、原則として全ての社員が、等しく適用を受けますが、様々な雇用形態がある今日においては、その雇用形態によって当然労働条件(労働時間、労働日数、賃金)も変わり、全てを一つの就業規則でカバーする事は難しいといえます。貴社の様な会社では、正社員用とパートタイム労働者用といった異なる就業規則を作成する事が認められており、貴社は、正社員、パートの定義を明確にした上で別々の規則を作成しておけば問題なかったのです。 近年、このケースのようにパート従業員の比率が大きい会社が増えてきており、その為の様々な規則や規程の整備も必要となってきています。その中でも就業規則は基本であり、トラブルを未然に防ぎ、パート従業員を会社の重要な戦力とする為にも、万全な体制を備えることが要求されます。今一度社内の規程類を見直し、必要な場合は、専門家(社会保険労務士)にもご相談されることをお勧めします。 (2004年5月)