- 当社では、退職となった社員の履歴書や人事評価表などの資料について、過去5年分を保存しているのですが、場所もとるので、整理したいと思っているのですが、これらの書類はいつまで保管するのが妥当なのでしょうか。 ?
- まず労働基準法の規定を見てみると、第109条において、「使用者は、
労働者の名簿、賃金台帳及び雇入、解雇、災害補償、賃金その他
労働関係に関する重要な書類を3年間保存しなければならない」と
定められています。そのため、退職者の個人情報についても、
法令上3年間保存しておくことが必要になっています。
このように最低限の保管期間はあくまで3年間ですが、3年間で破棄
しても問題ないのか不安に感じるところです。
これに関しては、厚生労働省「雇用管理に関する個人情報の適正な
取扱いを確保するために事業者が講ずべき措置に関する指針(解説)」
を見てみると、参考4に「退職」時点における個人情報の適正な取扱いを
確保するための留意点が紹介されています。これによると、
「①退職者の個人情報については、賃金台帳等の一定期間の保存を定めた
労働基準法第109条等他の法令との関係に留意しつつも、利用目的を達成した
部分についてはその時点で、写しも含め、返却、破棄又は削除を適切かつ
確実に行うことが求められる。仮に利用目的達成後も保管する状態が続く
場合には、目的外利用は許されておらず、また、その後も継続して安全管理
措置を講じなければならない」、
「②退職者の転職先又は転職予定先に対し当該退職者の個人情報を提供する
事は、第三者提供に該当するため、予め本人の同意を得なければならない」
とされています。
つまり、個人情報管理という視点においては、退職者の個人情報の利用
目的が達成されたのであれば、その時点で、コピーしたものやデータも
含めて返却、破棄または削除を行うことが求められています。
このような対応が求められている為、いつまでも保管しておくことは適切
ではなく、3年経過した時点で書類やデータのチェックを行う必要が
あるでしょう。しかし、特定の事情によって、必要な情報を長らく保管して
おかなければならないときがあります。この場合には利用目的の範囲内
で保管しておくことは問題ないと考えますが、やはり利用目的や保管
期間等を明確にした上で保管しておくことが求められます。保管期間については、労働基準法第109条により3年間の保存義務が
ありますが、それ以上の期間としては、債務不履行による損害賠償債務の
時効期間である10年を目安にするという考え方があります。
その為、長くとも10年を目安として、10年を過ぎる時点で、10年を超えても
なお保管しておく必要があるか否かを検討することが必要になってくるでしょう。