平成18年度における、税制適格退職年金制度(適年)から中小企業退職金
共済制度(中退共)への移行企業数は2,779社(前年度比30.3%減)、
従業員数は78,686人(前年度比37.1%減)でした。
前年対比での減少の原因は、平成17年4月から適年資産の全額移換が可能
となったことにより、平成17年度の移行企業数が一時的に増加したためと
みられます。
なお、平成18年度中に適年を解約した企業のうち、中退共に移行した企業の
割合は44.8%、平成14年度から18年度までの5年間では33.6%となっています。
適年は平成24年3月末で廃止されることから、企業に残された期限はあと5年を
切っています。
加入企業としては、それまでに他の企業年金制度に移行するなどの対応が
必要であり、中退共は有力な移行先の1つになっています。
平成16年度までは適年資産移換限度額(378万円)があったため、
限度額を超え移換できない金額が従業員に返戻(一時所得)されてしまうことが、
移行を妨げる要因の1つになっていました。
然し前述の通り、平成17年4月より適年試算を全額移換できるようになりました。
平成18年度に入ってからは月平均231社が中退共に加入しています。
この結果、平成18年8月には適年から中退共への移行企業数は1万社を突破し、
平成14年4月から平成19年3月末までの5年間で移行企業総数は11,780社、
従業員総数は338,581人となっています。
なお、適格年金制度からの移行先としては、この中退共のほか、確定拠出年金
(日本版401K・・中小企業用として、総合型401K制度が大手金融機関により
用意されています)、確定給付企業年金(中小企業には規約型が
一般的)の2つの制度あります。
そして、確定給付企業年金には、キャッシュバランスプラン(CB)の導入も
可能です。
何れにしても、適格年金制度の移行など退職金制度の改定は専門的な知識が
必要ですので、ご検討される場合は、私どもに一度ご相談下さい。