先般、厚生労働省は令和元年度の長時間労働が疑われる事業場
に対する監督指導結果を公表しました。
働き方改革関連法による時間外労働の上限規制が令和元年4月1日
より中小企業にも適用されたこと等もあって、対象事業場数は
平成30年度の29,097から約1割増の32,981に増え、
そのうち15,593(47.3%、平成30年度は11,766の40.4%)で違法な
時間外労働が確認され、指導が行われています。
監督指導の実施事業場の内15,338(46.5%)で、健康障害防止措置が
不十分として、長時間労働者に対する医師面接等を講じるよう指導が
行われています。
平成30年度20,526(70.5%)に比べて減少していますが、まだまだ
多いことが分ります。
事業場の規模別に見ると、監督指導実施事業場の41.7%を10~29人の
事業場が、25.3%を1~9人の事業場が占めており、30人未満の事業場で
約7割を占めています。平成30年度と比べてこの割合は増えており、
これらの事業場で特に注意が必要といえます。これを会社の規模別に
見ると、24.7%が10~29人、12.8%が100~299人、29.3%が300人以上
となっています。こちらも平成30年度に比べて30人未満の割合が増えて
います。
監督指導の対象事業場32,981の内商業の事業場は8,000(24.3%)で
その内6,088(76.0%)で労働基準関係法令違反がありました。
平成30年度の3,097事業場での違反に比べると、ほぼ2倍と
なっています。
厚生労働省では、本年11月に「過重労働解消キャンペーン」を実施し、
重点的な監督指導を行うとしています。新型コロナウィルスの感染拡大
を受け、3月17日に発出された通達では、中小企業等に対する
相談・支援について、「労働基準関係法令に係る違反が認められた場合
においても、新型コロナウイルス感染症の発生及び感染拡大による影響
を十分勘案し、労働基準関係法令の趣旨を踏まえた自主的な取組みが
行われるよう、きめ細かな対応を図る」ともされていますが、自社の
時間外労働の実施状況や健康障害防止措置に関する対応に問題が
ないか、改めて調査・確認をし、不安がある場合は前広に私共に
ご相談下さい
(2020年9月25日)