①時間外労働上限規制
「働き方改革」の下、昨年4月から大企業を対象に時間外労働
の上限規制が始まりました。時間外労働の削減については
多くのメディアでも取り上げられてきており、各企業で多様な
取組みがなされているところですが、いよいよ今年の4月から
中小企業も規制の対象となります。
②残業割増率50%
更に、中小企業には現在は適用が猶予されている月60時間
を超える時間外労働の法定割増賃金率50%以上の規定も、
2023年から適用が開始とされます。いよいよ長時間労働が
常態化している会社においては、残業時間削減の取組みは、
経営上無視できない深刻な問題となってくるでしょう。
実際、労働時間自体は全体的に減少傾向にあるようです。
直近の厚生労働省が2月に公表した毎月勤労統計調査
令和元年分(速報)によると、労働時間(1人平均)は
総実労働時間 139.1時間と前年比2.2%減となったそうです
(うち、所定内労働時間は128.5時間(同2.2%減)、所定外
労働時間は10.6時間(同1.9%減))。この労働時間減少
傾向が、どの程度実態が伴っているものなのかはわかり
ませんが、残業時間の上限に法的規制が加えられたことから、
各企業で時間外労働等の削減に向けた取組みが進められて
いることは確かでしょう。
残業時間削減の取組みとしては、「年次有給休暇取得促進
の取組」、「従業員間の労働時間の平準化を実施」、
「残業を事前に承認する制度の導入」、「従業員の能力開発
の実施や自己啓発の支援」、「IT環境の整備」など様々なもの
があります。
厚生労働省では、現在、中小企業の事業主に向けて
「働き方改革」の特設サイトを設けており、残業削減等の
取組み事例や関連の助成金の情報をまとめて紹介しています。
各企業で時間外労働の原因や適切な対策は異なりますが、
自社の現況を踏まえて対応可能なところから始めてみては
いかがでしょうか。
③その他
本年4月1日から中小企業にも適用される労働関連法は、
他にも主なもので(イ)労働者派遣法(ロ)労働基準法(消滅
時効の延長。但し、現国会で成立することが前提)などが
あります。ご留意ください.
(2020年2月26日)