①セブン‐イレブン・ジャパンで未払い残業代問題
昨年12月、セブン‐イレブン・ジャパンは、パート・アルバイトの
残業代が一部未払いとなっていた件で、永松社長が記者会見で
謝罪しました。同社の支払不足額は2012年3月以降分だけで
4.9億円(遅延損害金1.1億円含む)に上り1人当たり最大280万円
となっていました。
原因は精勤手当や職責手当等、本来は残業代の対象となる手当
を含めずに残業代を計算していたことにあり、12月15日掲載の
東洋経ONLINEの記事によれば、「2001年に計算式を変えた際、
式に基づいて計算が正しく行われるかという確認はしていた。
しかし、人事や労務管理のプロである社会保険労務士によって
計算式そのものが正しいか確認された記録はなく、今までミスが
放置されていた」ということです。
この問題により、同社は厳しい批判を浴びせられました。
批判は、未払いの発生のみならず、労働基準監督署の是正勧告等
を受けていたにもかかわらず長年放置していた姿勢にも向けられました。
こうした批判は、今後の人材募集にも深刻な影響を与えかねません。
②今年4月以降、未払い残業代リスクはさらなる脅威に
昨年12月27日、厚生労働省は、賃金等支払いを請求する権利の時効を
現行の2年から原則5年へと延長する方針を固め、4月1日以降、
労働基準法が改正される見通しとなりました。
改正法施行後も、当面の間は3年とされる見通しですが、5年経過後に
見直し、以降は原則どおり5年とすべきという意見も出されています。
つまり、未払い残業代が発覚した場合でも、これまでは2年分の不足分
を支払えばよかったのですが、改正後は2倍以上の金額を支払わなければ
ならないこととなります。
4月1日以降は、時間外労働時間の上限規制も全面施行となるため、
残業時間のカウントと残業代の支払いに注意を払う必要があります。
ソフトやクラウドサービスを利用しているから大丈夫と思っても、
セブン‐イレブン・ジャパンのように計算方式が誤っていて、未払い
残業代が発生し続けるといったこともあり得ます。同社の二の舞を踏んで
危機に陥らないためにも、今一度貴社の現状を改めてチェックしてみては
如何でしょうか?
(2020年1月28日)