副業については、日本では未だそれほど認知度が高くは
ありませんが、昨今政府は「働き方改革」の一環として
副業への取り組みを奨励しています。
政府がまとめた「経済財政運営と改革の基本方針2019」
(骨太方針)にも、副業・兼業の促進に関して、労働時間の
把握・通算に関する現行制度の適切な見直しについて
明記されており、副業・兼業が珍しいものでなくなる時代が、
そこまで来ているのかもしれません。
これについてのいくつかの調査結果から、企業側・従業員側
それぞれの現状と意向が、以下の通り垣間見られます。
2019年度の新入社員は、会社に副業制度があった場合、
64.0%が利用したい、又はどちらかといえば利用したいと
考えているようです(産業能率大学総合研究所「2019年度
新入社員の会社生活調査」)。
また、有職者の58.1%が、副業をしている・したいとの調査結果
もあります(インテージリサーチ「副業に関する意識調査」)。
なお、この調査はアンケートモニターやネットオークション等の
どちらかというと軽い副業も含まれているようです。
他方で、具体的に副業や副収入を得ることを意識した活動を
実際にしている人は約19%、今後してみたいと思っている人は
約40%ですので、まだそれほど実際に副業をしている人は
少ないようです。
他方、企業の副業制度の導入状況を見てみると、約8割の企業が
未導入だとしています。制度のある企業でも利用率が50%以下と
なっている企業が9割を占めるようです(産業能率大学「2019年
中小企業の経営施策」)。
現状では、人材不足のため、本業だけで手一杯といったところ
でしょうか。
また、別の調査(パーソル総合研究所「副業実態・意識調査結果
(企業編)」)では、副業を認めている企業(条件付きを含む)も、
全面禁止としている企業もそれぞれ50%となっています。
副業を許可している企業でも、ここ3年以内に許可を開始した企業が
52%となっており、副業許可の動きが増加傾向にはあるようです。
さらに同調査では、副業を全面許可した企業は、条件付き許可企業
よりも従業員の会社へのロイヤリティ、本業のパフォーマンスが
高まっていると推論、メリットは大きいとしています。
且つ、そのようなメリットは、会社による副業時間の把握、従業員への
副業の方法等についてのアドバイス、社内ツールを利用した情報の
全社的共有を行うことで効果が高まるという結果も出ています。
要は、副業効果を挙げるためには、従業員任せではなく、会社が
積極的に対策を行い、副業をバックアップすることが重要なようです。
(2019年7月26日)