2016年の改正がん対策基本法により、企業はがんに
罹患した労働者の就労への配慮が求められています。
また、2017年に閣議決定された「経済財政運営と改革
の基本方針2017」(骨太の方針)では、働き方改革
の1つとして、「治療と仕事の両立推進」が盛り
込まれました。現在、病気になった労働者の就労継続は、
労務管理上の大きな課題となっています。
両立の推進を行う上では、労働者を中心として、
事業場(事業者、人事労務担当者、上司・同僚等、
労働組合、産業医)、医療機関(主治医、看護師、
医療ソーシャルワーカー等)、地域の支援機関
(産業保健総合支援センター、保健所、社会保険労務士等)
といった関係者が連携することが望まれます。
中でも産業医は、労働者と事業者の間に立つ存在として、
関係者間の調整機能を果たすことが求められる、重要性
の高い存在です。
しかし、アフラック生命保険会社の調査で、企業における
産業医の認知度・活用度は非常に低いことがわかりました。
同社の「がんと就労に関する意識調査」結果報告
(2018年11月1日発表)によると、調査対象中、産業医を
有すると推定される規模の企業に勤めている患者は65%と
推定されるところ、「産業医がいる」と認知しているのは
約25%にとどまりました。
また、経営者においても、産業医または産業保健総合
支援センターに相談していない経営者が約70%、
がん患者の就労相談についても話し合ったことがない
経営者が約60%と、産業医を活用することができていません。
病気になった労働者の就労継続には、産業医が関与
することが効果的とされています。産業医について、
その存在、日常的な健康管理や両立支援の要であることを
労働者に周知するとともに、企業としても活用を図っていく
ことが大切です。
産業医と上手に連携して、「治療と仕事の両立支援」に
取り組んでいくことをお勧めします。
(2019年1月26日)