シニア就業支援施策

2月中旬、政府は「高齢社会対策大綱」を
閣議決定しました。同大綱は日本が高齢
社会にどう対応するかの指針であり、
5年ごとに見直されています。
今回は、人を年齢で区別せず国民が
希望に応じて意欲・能力をいかして活躍できる
「エイジレス社会」の構築を目指すことが
示されました。
①年金受給開始年齢:70歳超が可能に
公的年金の受給開始年齢について、選択に
より70歳以降まで繰下げを可能にする制度や
在職老齢年金の在り方等、働くシニアの多様な
実態に応じた制度を検討することが
盛り込まれました。
現在でも65歳以降70歳までの繰下げは可能で、
受給額が月額最大42%上乗せされるメリットも
ありますが、2015年度末時点の利用率は1.4%と、
60歳以降への繰上げの35.6%に比べて低く、
この周知にも取り組むとされています。
② 高年齢者の就業率引上げ目標
昨年の総務省「労働力調査」によれば、60~64歳の
就業率は63.6%、65歳以上の就業者数も10年間で
1.5倍に増え、807万人となっています。
今回の大綱では、この60~64歳の就業率を2020年
には67%とする目標が掲げられました。
③健康年齢の延伸目標
中小企業では、再雇用制度等の活用によりシニア
従業員になるべく長く働いてもらうことで人材を確保
しているところが数多くあります。長く働き続ける
ためには健康であることが不可欠ですが、大綱でも、
日常生活に支障のない健康寿命を、2013年時点の
男性71.19歳、女性74.21歳から、2025年に2歳以上
延ばす目標が設定されました。
就労の場においても、加齢に伴う身体機能の変化を
考慮し、安全と健康確保に配慮した働きやすい快適な
職場づくりおよび健康確保対策を推進するとしています。
④事業者に対する支援の充実も明記
シニアの就業は本人の健康・意欲・体力等により
多様化することから、テレワークの活用等選択肢を
広げるとしています。
また、65歳までの定年延長や65歳以降の継続雇用
延長を行う企業への支援を充実させるとともに、
賃金・人事処遇制度等の条件整備に係る相談・援助
の実施や各種助成制度を有効活用することが明記
されました。
これら助成制度の活用も睨みながら、シニア労働力
の確保が、今後大きな経営課題の一つになっていく
ものと思われます。

(2018年3月28日)