「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき
措置に関するガイドライン」が発出されました。
これは、平成13年4月6日付「労働時間の適正な把握
のために使用者が講ずべき措置に関する基準」
(所謂「ヨンロク通達」)
に替わるものとして出されたものです。
本ガイドラインでは、着替え等の準備行為に要する
時間や、所謂手待時間、使用者の指示による
研修・学習等の時間など使用者の指揮命令下に
置かれていると評価できる時間を労働時間として
取扱うべき旨が記載されています。
このような項目は、従来の基準にはなかった
ものです。
また、労働時間の自己申告制については、
従来の通達においても、・自己申告による
労働時間と実際の労働時間が合致しているか
否かについて、必要に応じて実態調査をすること
などが求められていましたが、今回のガイドライン
では、これらに加えて、①実際に労働時間を
管理する者に対して、自己申告制の適正な運用
を含め、本ガイドラインに従い講ずべき措置に
ついて十分な説明を行うこと、
②自己申告による労働時間と、入退場記録や
パソコンの使用時間記録などによる時間との間に
著しい乖離が生じているときは、実態調査を実施し、
労働時間の補正を行うこと、
③自己申告した労働時間を超えて事業場内にいる
時間について、その理由等を労働者に報告させる
場合には、当該報告が適正に行われているかに
ついて確認すること、
④36協定において認められる延長時間を超えて
労働しているにも拘わらず、記録上はこれを守って
いるようにすることが慣習的に行われていないかに
ついて確認すること。
といった項目が新たに設けられました。
労働時間問題については、昨今の長時間労働に
起因する事件の頻発等に伴い、社会的にもその
対策を求める声が益々高まって来ているので,
企業としても現状の適正把握と課題解決への
有効な対策の実施が早急に求められています。
(2017年3月1日)