厚生労働省は、2008年初めをめどに、クレジットカードで国民年金の
保険料を払えるようにする方針です。
カードで払えばポイントを貯めることができるなど、若者を中心に低迷する
納付率の向上に役立つとみられ、今通常国会に提出する国民年金法改正案に
盛り込まれるようです。
カード決済だとカード会社がいったん保険料を立て替えるので、
国からみれば納付者の口座の残高が足りなくても、回収リスクを負わずに済む
というメリットもあります。
公金のカード払いは初めての試みであり、今後は地方税や水道料金などの
カード払いにも広がる可能性があります。
2005年度の国民年金保険料の納付率は67.1%で、対象者の3分の1が
払っていません。
政府は、2006年度については74.5%を目標に掲げていましたが、目標達成は
難しい状況にあります。
厚生労働省は、納付率改善のため利便性の向上を目指し、2004年2月に
コンビニエンスストアでの納付、2004年4月に携帯電話やパソコンを通じた
インターネットでの納付を認めてきました。
2005年度の利用状況はコンビニが589万件、インターネットは14万件でした。
カード決済は納付手段を増やすための第三弾となります。
厚生労働省は、集めた保険料の一部をカード会社への手数料支払いに充てます。
2007年度は広報、システム開発など準備費を含め1億2,000万円の経費を
見込んでいます。
これまで、公金のカード払いは、カード会社への手数料支払いという財政負担が
障害で普及が進んでいませんでした。
政府が2006年3月に作成した規制改革の3カ年計画では、国税のカード決済の
検討を打ち出しましたが、国税庁は財政負担を理由に否定的です。
自治体で始まったカード払いも、まだ神奈川県藤沢市の軽自動車税など一部に
とどまっています。
今後の普及が課題だといえます。