国民年金基金連合会(厚生労働省の外郭団体)の調べによると、
確定拠出年金を転職先に持ち運ばず、運用を放棄している人の数が、
今年1月末時点で、転職者全体の約6割に相当する7万4,600人いる
ことがわかりました。
雇用の流動化に合わせ年金も持ち運びしやすい仕組みになりましたが、
一定の手続きが必要で、十分活用されていない現状が浮き彫りになりました。
厚生労働省は、転職者が自動的に年金を移せるよう、
転職者の積立金を専門に運用するファンドを作ることなど、新たな制度の検討
に入ったそうです。
確定拠出年金は、確定給付年金など他の企業年金とは異なり
(企業を窓口にしますが)、企業ではなく個人が金融機関と運用の契約
を結びます。
従来の企業年金は、転職すると年金制度が終わってしまい、積立金を精算する
必要がありましたが、確定拠出年金は、転職先が導入していなくても、一定の
手続きをすれば引き続き加入できます。
然し、転職後半年以内に切り替えの手続きを行わないと、積立金は自動的に
国民年金基金連合会に移されます。
すると、運用は一時的にできなくなり、将来の受取額が減ってしまいます。
放置している間は加入期間に算入されないため、支給開始年齢が本来の60歳
から5年間遅れる可能性もあります。
一方、民間の生命保険会社が扱う個人年金保険の契約規模が急拡大している
ようです。
業界全体の保有契約高は84兆5,000億円程度(2006年12月末)になった模様で、
2006年度に入って4兆円ほど増加しました。
年度ベースでみると、10年ぶりの高水準に達しています。
空洞化が進む公的年金制度への不信も背景にあり、老後に備える
マネーは「官」から「民」へと移ってきているようです。