正社員登用制度

契約法では、有期労働契約が反復更新されて
通算5年を超えた場合には、無期労働契約転換
申込権が発生するとされています。
企業としては無期転換に関し、どのように対応
するか、具体的に検討に入らなければならない
時期になってきていますが、ここに来て求人倍率の
上昇による人材確保が難しくなっていることや、
非正規から正規労働者への登用増加などにより、
無期転換申込権が発生する前に人材を判別したい
とする企業も増加しています。
これに関し、厚生労働省の資料「労働契約法に係る
質疑応答」には、以下のような質疑が掲載されています。
■問
 通算契約期間が5年を超える前に能力判断のために
試験を行い、試験に合格した者は正社員とし、
不合格の者は5年までに雇止めすることは可能か。
■答
 社内でそのような正社員登用制度を設けることは
禁止されない。なお、紛争防止の観点からは、契約
締結時等において、労働者に対してそのような制度が
設けられている旨を十分に説明することが望ましい。

 正社員登用制度のような制度を設けることで、すべて
が解決されるわけではありませんが、このような
制度を設けて、しっかりと運用することで、労働者
としてはモチベーションがアップし、会社としても
必要人材を見分ける意識が高まることになるかと
思います。そのため、一つの選択肢として検討する
余地があるのではないでしょうか。

 なお、改正パートタイム労働法では、「パートタイム
労働者を雇い入れたときの事業主による説明義務」
がありますが、正社員転換推進措置についても
説明の必要性があるでしょう。
この観点からも、正社員登用制度の検討を進めて
もよいのかも知れません。

(2015年12月1日)