「勤務間インターバル制度」

「勤務間インターバル制度」は、終業から次の
始業までの間に一定の休息を取らせる仕組みで、
大企業での導入が増えています。
極端な働き過ぎを防ぐことが目的ですが、今後、
多くの企業に広がるか注目されています。
KDDIはこの7月から、「8時間以上の休息確保」
ルールを本格的に始めました。
管理職を除く社員約1万人が対象で、午前1時以降
の勤務を原則禁止し、始業時刻の午前9時までに
8時間以上の休息が取れるようにするという
ものです。
1時以降も働いた場合には、次の出勤をその分
ずらすことになります。
例えば午前2時退社なら、翌朝の出勤は10時以降
となります。
また、8時間ギリギリの日が続かないよう、休息が
11時間を下回った日が1カ月に11日以上あった場合
は本人や上司に注意を促します。
以前からあった制度ですが、組合の求めに応じて
対象を広げたものです。
欧州連合(EU)では、すでに11時間以上の勤務間
インターバルの確保を企業に義務付けていますが、
日本ではこうした法規制はありませんので、
労組が経営側と話し合って自主ルールとして確保
に乗り出しています。
24時間営業のレストランを展開するある企業では
昨春、店長ら従業員に「11時間以上の休息」を取らせる
仕組みをつくりましたが、「店長に急な残業が入っても、
翌朝の仕事をパートに頼める雰囲気ができた」などと
喜ばれているようです。
3週間分の勤務計画を本社がチェックし、人手不足で
休息が取れない店には、近くの店から従業員を派遣
させているそうです。
ただ、この制度で働き過ぎが必ず防げるわけでは
ありません。
8時間の休息では、通勤や食事時間を除くと睡眠は
5時間ほどになり、連日続いたら働き手の健康を
害するレベルです。
また、休息が取れたとしても仕事量が減らなければ、
かえって働き手を精神的に追いつめる恐れもあります。
中小企業や労組のない企業への浸透も課題です。
厚生労働省の審議会では昨冬、労組側から「勤務間
インターバルを導入すべきだ」との意見が出ましたが、
経営側が「企業に一律に導入するのは不可能」と
反対し、法案化には至りませんでした。

(15年7月28日)