1年単位の変形労働時間制を導入し、1日の所定労働時間が異なる場合は、
年休取得日の賃金として、その日に予定された時間分を支払わなければ
ならないのでしょうか。
年次有給休暇に対する賃金の支払方法としては、次の3種類があります。
1.平均賃金
2.通常の賃金
3.健康保険法に定める標準報酬日額に相当する金額
このうち、どの支払方法によるかは当事者の自由とされています。
然し、あるときは上記1.の方法をとり、別のときは2.の方法をとるなど、
社員が年次有給休暇を取得する都度、使用者が恣意的に選択することは
認められません。
1.または2.の支払方法をとる場合は、採用した支払方法を就業規則その他
これに準ずるものに予め定める必要があります。
また、3.の支払方法をとる場合には、三六協定の場合と同様に
過半数労働組合(ない場合には労働者の過半数代表者)と書面協定
を結んで、就業規則に定めておく必要があります。
パートタイム労働者などの時間給制による労働者の通常の賃金の計算方法
については、「時間によって定められた賃金は、その金額にその日の
所定労働時間を乗じた金額」であることが定められています。
また、1年単位の変形労働時間制の場合で、時間給制による労働者の
年次有給休暇の賃金を通常の賃金の方法によって支払う場合については、
「各日の所定労働時間に応じて算定される」とされています。
従って、パートタイム労働者が、年次有給休暇を取得した日に4時間の
所定労働時間が設定されていれば4時間分の賃金を、6時間の
所定労働時間が設定されていれば6時間分の賃金を支払わなければ
なりません。
一方、正社員のような完全月給制の労働者に対して1年単位の
変形労働時間制が実施されているケースでは、年次有給休暇取得日に
通常の賃金を支給する場合は、年次有給休暇取得日の所定労働時間が
長い場合も短い場合も月給額をそのまま支払うことになります。