労働者派遣法が1986年に施行されて、約20年。正確な数字が残る88年度の派遣労働者数は、約31万人でしたが、02年度では、約213万人と、約7倍の増加となりました。
当初、専門職のイメージの強かった派遣ですが、対象領域が拡大されて、今では正社員の補完的な位置づけとなっています。派遣健康保険組合の調べでは、派遣労働者の85%を女性が占め、その平均年齢は約32歳です。35歳を過ぎると派遣先が決まりにくくなり、40代になると派遣の機会はガクンと減ります。さらに50代になると、ほとんど需要がなくなります。派遣の現場では、35歳定年説が、半ば公然とささやかれています。無論、法的には認められていません。
派遣には、「常用型」と「登録型」があり、仕事のあるなしにかかわらず、常に派遣会社に雇われているのが「常用型」です。一方、派遣会社に登録して、派遣先が決まったときに派遣会社に雇用されるのが「登録型」で、大半の派遣労働者がこの登録型に属します。派遣労働者の仕事をしていた前任者の7割は常用雇用者です。つまり、正社員の代わりとして、派遣労働者が利用されています。派遣労働者の雇用期間は、一般事務の場合は6月未満が約6割を占め、平均4.4月です。いつ解雇されるかわからず、実に不安定な状態で仕事をすることになります。また、時給も低下しています。
NPO法人派遣労働ネットワークの調べでは、派遣労働者の時給は、98年が1,660円、01年が1,460円、04年が1,430円に下がっています。派遣会社は増え続け、今では全国に6,000〜7,000社あると言われ、激しい競争を展開しています。そのため、ダンピング合戦になり、当初専門性を活かした強者だった派遣労働者は、結果として労働市場の弱者になりました。正社員の雇用が減り、今後は派遣労働者としてしか働けないという事態になるのかもしれません。