改正パートタイム労働法

本年4月23日に公布された改正パートタイム労働法
(「改正法」)では、賃金の決定、教育訓練の実施、
福利厚生施設の利用その他待遇の面で正社員との
差別的取扱いが禁止されるパート労働者の範囲
の拡大、また、待遇の決定についてパート労働者の
納得性を高めるために行う雇入れ時の説明義務等
が規定されましたが、これらの具体的な取扱いは
省令や指針に規定されます。
現在、厚生労働省(労働政策審議会雇用均等分科会)
において、省令や指針の見直しの議論が進められており、
実務への影響が大きいことからその行方が関心を
集めています。
改正法10条1項は、正社員との均衡確保の努力義務の
対象となる賃金について「通勤手当、退職手当その他の
厚生労働省令で定めるものを除く」と規定していますが、
「職務に密接に関連して支払われるもの」については
均衡確保の努力義務の対象となるよう、省令が見直
される予定です。
雇用均等分科会の資料では、「距離や実際かかっている
経費とは関係なく一律の額で通勤手当として支払っている
ような場合については、職務関連として整理されるのでは
ないか」とされており、7月下旬に公布される予定の
改正省令でどのように規定されるか、注意を要します。
改正法では、上記の通り、雇入れ時の事業主による
説明義務が規定されるとともに、16条で、パート労働者から
の相談に応じるための体制の整備を義務付けています。
これにより設置される相談窓口が、改正省令では雇入れ時
に文書交付等により明示すべき事項に追加される見通し
ですので、体制の整備だけでなくその周知も行わなければ
ならないこととなります。十分にご注意下さい。

(2014年6月28日)