東京労働局から「監督指導による賃金不払残業の是正結果
(平成24年度)」が公表されましたが、これによれば、
東京労働局管内で、時間外・休日・深夜労働に対する割増賃金
が適正に支払われていないとして是正勧告・指導され、
100万円以上の遡及支払いになったのは125企業となり、
その総額は17億円に上ったとのことです。
最近、主に元従業員から、未払残業代請求の内容証明が
届く企業が非常に増えているようです。
「あなたの未払残業代がすぐわかる!」といったような内容
のサービスを謳うホームページや、残業代請求に関する
内容証明のひな形を掲載するサイトも増えています。
これらを利用すれば、内容証明の作成・送付により、
簡単に会社に対して未払残業代を請求できる時代になって
しまいました。
ある日突然、送りつけられた未払残業代の支払いを要求
する内容証明。
その内容ごとに、会社の対策は変わってきます。
まず、内容証明の送り手は誰か。内容証明の差出人が、
従業員個人なのか、合同労組やユニオンなのか、弁護士等
なのかにより、会社としての対応が違ってきますし、
相手の事情や紛争が長期化するかどうかもある程度
読み取ることができます。
例えば、従業員(元従業員)本人による場合、会社への
うっぷんを晴らしたいのか、
お金が欲しい(お金に困っている)だけなのか、上司等
に対する個人的恨みなのか等が判断できる場合が
あります。
また、内容の完成度や要求の度合いにより、インターネット
のテンプレートを使って素人レベルで作ったものなのかどうか
等の情報がわかり、
以後の会社のとるべき対応を考えるうえで参考になります。
いずれにしても、会社としては、必要な資料(タイムカード、
日報、就業規則、賃金規程等)の収集・検討を行い、
残業時間を確認し、そのうえで対応を行います。
もっとも、未払残業代を発生させてしまう残業・労働時間管理
を根本から見直さない限り、こうした内容証明が届くリスクは
なくなりません。
「会社が未払残業代を請求された」という噂が広まれば、
現在働いている従業員についても、その不満を爆発させてしまう
ことにつながる可能性も大いにあります。
今一度、自社の労働時間管理について検証してみては
如何でしょうか。
(2014年3月1日)