退職給付制度の調査結果

昨年11月発表(厚生労働省)の「就労条件総合調査」は、
常用労働者数30人以上の企業を対象に調査を行い、
4,211社から有効回答を得てまとめられています。
同調査では、前回調査以来5年ぶりに退職金の支給状況0
に関する調査が行われましたが、それによれば、
2008年当時は83.9%の企業が「退職給付制度あり」と回答
していたところ、今回は75.5%まで減少しています。

制度の形態別にみると、2008年当時は31.9%あった
「退職一時金・退職年金を併用」する企業が22.6%へと大きく
減少し、「退職一時金制度のみ」と する企業が55.3%から
65.8%と、大きく増えました。
支払準備形態については、退職一時金制度がある企業では
「社内準備」とする企業が64.5%で最も多く、次いで
「中小企業退職金共済制度(中退共)」が46.5%でした。
一方、退職年金制度がある企業では「厚生年金基金」(44.8%)
が最も多く、次いで確定拠出年金(企業型)の35.9%が続き、
確定給付企業年金は35.6%と僅差でしたが、確定拠出年金に
ついで3位となりました。
今後は、厚生年金基金制度の見直しが進むにつれ、状況が
変化して行く可能性があります。

勤続35年以上の定年退職者の退職給付額は、大卒者が
2,156万円(前回比335万円減)、高卒者(管理・事務・技術職)
が1,965万円(同273万円減)、
高卒者(現業職)が1,484万円(同537万円減)で、
いずれにおいても支給額が大きく減少しました。
一時は「確定拠出年金の6割が元本割れ」との報道も
なされましたが、2013年9月時点にいて、株価上昇等により、
98%の加入者が元本割れの状況を脱し、通算の運用利回りの
平均は年率で3%台に回復しました。
2014年度の税制改正においては確定拠出年金の拠出限度額の
引上げについて検討が進められていますが、税制上の優遇措置
もあることから、今後、厚生年金基金制度の見直しが進むに連れて、
基金制度から、確定拠出年金制度へと移行するケースが一層
増加して行く可能性もあるでしょう。
退職給付制度のある企業においては、外部情勢が一段の変化も
予想されますので、今後関連情報の収集には十分に留意する
必要がありそうです。

(2014年1月27日)