厚生労働省の「今後の労働者派遣制度の在り方に関する研究会」は、
8月6日に開催された会合で報告書素案を公表し、今後、
労働政策審議会で行われる見直しの議論のための方向性や論点を
示しました。
この報告書素案では、これからの制度検討の基本的視点として、
①派遣労働者の保護と雇用の安定、
②派遣労働者のキャリアアップ推進、
③労働者派遣制度を労使双方にとってわかりやすいものとすること、
が挙げられています。
現行、正規社員の雇用を脅かすおそれがないとして、ソフトウェア開発
や通訳、アナウンサーの業務等の26の業務(「26業務」)については、
派遣期間の上限が設けられていません。
これらについては、専門業務の枠組みをすべて廃止したうえで、
期間に上限を設けるかどうかは派遣労働者と派遣元との間で
締結される雇用契約(有期か無期か)によって決せられるようにし、
有期雇用についてはすべての業務で派遣期間を「最長3年」
とすることが適当とする案が示されました。
そして、派遣期間については、現在、派遣先の業務単位で制限が
設けられており、同一業務での派遣の受入れは最長3年とされて
いますが、これを労働者個人ごとの期間制限とし、前任者の有無
にかかわらず同じ部署で最長3年まで働けることとする案がされました。
今後は、公表された報告書素案をもとに2013年8月中に報告書を作成し、
労働政策審議会で労働者派遣法の改正についての詳細を検討したうえで、
2014年の通常国会に改正法案を提出することが予定されています。
派遣労働者を利用している事業所にとっては、労働者派遣制度をめぐる
法規制が大きく変更される可能性がありますので、今後の動向には
十分に注目して行く必要があるでしょう。
(2013年8月27日)