①「雇止め」をめぐる裁判例
地方自治体の非常勤職員だった女性(55歳)が、長年勤務
していたにもかかわらず、一方的に雇止めをされたのは
不当であるとして、自治体を相手取り地位確認や慰謝料
(900万円)の支払いなどを東京地裁に求めていました。
同地裁は、「任用を突然打ち切り、女性の期待を裏切った
ものである」として慰謝料(150万円)の支払いを認めましたが、
地位確認については認めませんでした。
この女性は、主にレセプトの点検業務を行っており、
1年ごとの再任用の繰り返しにより約21年間勤務していた
そうです。(11月9日判決)
②「過労死」をめぐる裁判例
外資系携帯電話端末会社の日本法人に勤務し、地方の事務所長
を務めていた男性(当時56歳)が、接待の最中にくも膜下出血で
倒れて死亡した事案で、男性の妻が「夫が死亡したのは過労が
原因である」として、労災と認めず遺族補償年金を支給
しなかった労働基準監督署の処分を取り消すよう大阪地裁に
求めていました。
同地裁は、会社での会議後に行われた取引先の接待について
「技術的な議論が交わされており業務の延長であった」と判断し、
男性の過労死を認めました(10/26判決)。
この男性は、お酒が飲めなかったにも拘らず、週5回程度の接待
(会社が費用を負担)に参加していたそうです。
③「震災口実の解雇」をめぐる労働審判申立て
仙台市の複合娯楽施設2店舗で働いていたアルバイトの男女
(11人)が、「東日本大震災」を口実とした解雇は無効である
として、施設の運営会社を相手に地位確認などを求めて労働審判
を申し立てました。
同社から解雇されたのは今回申立てを行った計11人を含め568人
もおり、約100人が同様の申立てを検討しているとのことです。
アルバイト側の代理人弁護士は「震災を口実とした便乗解雇
であり、許されない」とコメントしており、今後の審判の行方が
注目されます。(10/25申立)
{11年11月29日)