新聞報道によると、厚生労働省は、所得などに応じて医療費の
患者負担分に上限を定める「高額療養費制度」の見直し案を
社会保障審議会に示したそうです。
これまでの月額上限に加え、年額上限の設定も検討されている
ようです。
医療費は患者の「3割負担」が原則ですが、医療費が月100万円を
超えるようなこともあるため、一定額以上は保険給付でまかなう
「高額療養費制度」があります。医療費の自己負担が一定額を
超えた場合に超過分を払い戻す仕組みです。厚生労働省の見直し案
では、800万円以下の課税世帯を3分割し、所得に対して医療費が
重いとされる世帯の負担を軽減します。
月8万100円の上限を、「年収300万円以下」の世帯で4万4,000円に、
「年収300万円超~600万円未満」の世帯で6万2,000円に、
「年収600万円以上」の世帯で8万円とします。
また、月額上限とは別に、年額上限を設ける案も示しています。
年額上限は、最も負担が重い上位所得者の場合が99万6,000円、
一般所得者で「年収300万円超」の場合が50万1,000円、
「年収300万円以下」の場合が37万8,000円、住民税非課税世帯の
場合が25万9,000円となっています。
これらの見直しを実施すると、医療給付費が2015年度時点で
約3,600億円増えると試算されているため、厚生労働省は、
外来患者から1回100円(低所得者は1回50円)とする窓口での
追加負担を新たに徴収することで、財源を生み出す考えです。
しかし、日本医師会などが強く反発しており、見直し案の実現には
曲折も予想されます。また、高額療養費が増え続けた場合、
保険料の引上げにも
つながりかねません。今後も増加が予想される医療費をどのように
見直していくのか、政府の対応に注目が集まっています
(11年11月29日)