メンタルヘルス対策の強化

厳しい労働環境で仕事のストレスが増え、精神疾患を抱える社員の
対策が急務になっています。
昨年、独立行政法人労働政策研究・研修機構(JILPT)が企業に
メンタルヘルスに問題がある社員を抱えているかを調べたところ、
57%が「いる」と答え、業種別では「医療・福祉」(77%)と
「情報通信業」(73%)が全体の平均を大きく上回りました。

通信大手の某社では、産業カウンセラーなどの資格を有する
一般社員が悩みを聞く独自の「サポーター制度」を導入しました。
社員からすれば産業医や専門カウンセラーは敷居が高く、気軽に
相談しづらいこともありますが、このサポーターであれば敷居も低く、
いわば“第二の上司”として社員のメンタル面での面倒をみてくれる
と好評なようで、その結果として、社員数が増えても休職者数は
従来とほぼ横ばいにとどまっているそうです。

最もストレス度が高いとされる医療・福祉業界のある大手企業でも、
今年から外部委託のメンタルヘルスサービスの内容を切り替え、
約9,000人の社員は無制限で電話でカウンセラーに相談できるように
したそうです。
なお、厚生労働省では現在、ストレスを抱える社員に対する面接指導
などを義務付けるような法制化を準備しているようです。
定期健康診断の際に「ひどく疲れた」「憂鬱だ」といった簡易な
ストレス症状の判断テストを全社員に実施し、かなりのストレスを
抱えている状態であれば健康診断を行った医師が社員にその旨知らせ、
それを受けて社員が会社に医師の面接指導を希望する仕組みと
なるようです。
これは従来、長時間労働者のみがストレス診断の対象だったものを、
すべての労働者に広げるもので、早ければ今秋の国会に関連法案を
提出するようです。

こういった面接指導などの取組みと合わせ、企業がメンタルヘルス
の問題を未然に防ぐためには「働き過ぎ」「コミュニケーション不足」
など、職場全体の課題を取り除くことが肝要でしょう。
{2011年10月)