2009年度における国民年金保険料の納付率が59.8%と、過去最低と
なりました。
保険料を納めないと、将来受け取れる年金が減ったり全く受け取れ
なくなったりすることから、こうした事態を避けるための制度を
知ることが必要です。
国民年金は、すべての国民が加入することが義務付けられた年金制度
であるにも拘らず、滞納者は増加傾向にあります。
これは年金制度への「不信感」や「不安感」が増したことに加え、
正社員と比べ所得の低いパートタイム労働者が増えたことも一因と
されています。また、大学生の就職内定率が改善されなければ、
パート社員やアルバイトとして働く若者が増え、未納者はますます
増える可能性があります。
「所得が少なくなった」という理由で国民年金保険料を納められ
なくなった人には、免除や猶予の制度が設けられています。
以下の3つの制度です。
①年齢に関係なく所得の低い人が利用でき、免除額が所得基準に
応じて変わる「免除制度」、
②20歳以上の学生が利用できる「学生納付特例制度」、
③2005年4月に10年間の時限措置として導入され30歳未満の若者を
対象とした「若年者納付猶予制度」です。
これらの制度には、所得基準などが設けられているため、
利用するには自分が対象となり得るかの確認が必要です。
免除や猶予の制度を利用する利点には、次の2つがあります。
1つは障害年金や遺族年金の受給資格期間に算入されるという点です。
例えば、全額免除を受けていれば、ケガや病気で障害者になったり、
死亡したりした場合でも、障害年金を本人が受け取れたり、
残された配偶者や子供が遺族年金を受け取れたりします。
もう1つは、老齢年金の受給資格期間に算入されるという点です。
老齢年金は国民年金に原則25年間加入していないと受給できません。
未納状態が長く続いて受給資格期間が不足している人は将来年金を
受け取れなくなることもあり得ますので、その対策として免除や
猶予の制度を利用して、保険料未納期間をなくすことが大切です。
(2011年3月)