「中退共制度」の変更

単独では企業年金等を運営することが困難な中小企業のための、
相互共済の仕組みによる退職金制度である「中小企業退職金共済制度」
(中退共)について、厚生労働省は、中小企業退職金共済法施行規則を
改正しました(平成23年1月1日施行)。

この改正により、妻や子供など「同居の親族」のみを雇用する事業も、
中退共に加入できるようになりました。
これは、雇用・経済情勢が特に悪化し、退職後の従業員の生活保障の
重要性が改めて認識される中で、事業主と生計を一にする同居の親族
のみを雇用する事業に雇用される者であっても、使用従属関係が
認められる同居の親族については、中小企業退職金共済法の「従業員」
として取り扱うこととしたものです。
中退共加入時の留意点は以下の通りです。
(1)同居の親族のみを雇用する事業所か否か(中退共への加入状況
ではなく、事業所の雇用実態となります)、加入させる従業員が
同居の親族か否かの届出が必要です。
(2)上記(1)において「同居の親族」がいる旨の申込書が提出された
場合には、後日、中退共から使用従属関係を確認する「チェックシート」
が事業主に送付されます。必要事項を記入のうえ、労働条件通知書等の
必要書類と共に返送します。
(3)過去勤務期間については、新規申込時までの、継続して雇用された
期間で最高10年間を通算期間とすることができますが、過去に
小規模企業共済制度に加入していた期間は通算できません。
(4)同居の親族以外の従業員を雇用する事業所(混在事業所)が、
新規加入助成期間中に同居の親族のみの事業所となった場合には、
その「新規加入助成」が打ち切られます。
(5)同居の親族のみを雇用する事業所が新規に加入した場合は、
新規加入助成の対象となりません。

この他、加入中、退職時とそれぞれのタイミングにおいて、留意する
ポイントがあり、多少複雑ではあります。
しかし、加入することによるメリットも多く、特に生活保障としての
役割は大きいかと思われます。条件に該当する中小企業では、加入の
検討の余地は大いにあるでしょう。
(2011年1月)