このところ、「未払い残業代」を巡るトラブル事例がマスコミを賑わせています。
9月下旬には、大手旅行会社の子会社、流通業界大手のグループ会社の問題が
相次いで取り沙汰されました。
今後、様々な要因から「残業代請求訴訟」が増加するとも言われており、企業に
とっては非常に気になる問題です。
阪急交通社の子会社である「阪急トラベルサポート」の派遣添乗員6名は、
「みなし労働時間制」が適用されているのは不当であるとして、未払い残業代の
支払いを求め、東京地裁に提訴していました。
先日その判決があり、同地裁の裁判官は「みなし労働時間制」の適用を認めた
うえで、1人当たり84万円~271万円の支払いを同社に求めました。
判決では、携帯電話による報告や添乗報告書などによる労働時間の把握は
困難であったと認定して「みなし労働時間制」の適用は認めました。
しかし、ツアーごとに「みなし労働時間」を決定すべきであると判断したのです。
イオングループの「マックスバリュ東北」では、秋田県内の2店舗において
未払い残業があるとして、今年の3月に労働基準監督署から是正勧告を
受けていました。
その後、同社では、青森・岩手・秋田・山形の全90店舗における未払い残業
についての調査を行い、過去2年間で従業員1,009人(8,687人中)が未払い
残業を行っていたと認めました。従業員1人当たりの月間の未払い残業時間は
平均7.1時間であり、今年の11月末までに未払い総額約2億2,000万円を支払う
と発表しました。
多くの企業は「未払い残業」に関して、非常に大きな法的リスクを抱えています。
過去の未払い残業代について、いつ従業員(または退職者)から請求がなされるか、
労働基準監督署からの指摘を受けるかわからない時代となっています。
今後は、無駄な残業を発生させない仕組みづくり,労務管理上の工夫、
就業規則・社内規定の整備等が、より一層求められるでしょう。
必要な場合は、弊社にご相談下さい!
(2010年10月)