中小企業倒産防止共済制度

新聞報道によれば、中小企業庁では、取引先倒産による中小企業の連鎖倒産を
防ぐため、共済制度の拡充に関する改正案を国会に提出する予定とのことです。
拡充されるのは、独立行政法人中小企業基盤整備機構が運営する
「中小企業倒産防止共済」(通称:経営セーフティ共済)制度です。

同制度は、取引先が倒産して売掛金が回収できなくなった加入者に対し、共済金を
無利子・無担保・無保証人で貸し付ける制度であり、全国の中小企業の
約7パーセントに相当する約29万3,000社が加入しています。
現在の制度では、貸付限度額は「回収困難な売掛金債権等の額」と「掛金総額の
10倍の額」のうちいずれか少ない額で、最高で3,200万円となっており、返済期間は
5年間、返済方法は54カ月で均等分割による毎月返済となっています。

掛金月額は、5,000円から8万円までの範囲(5,000円刻み)で自由に選ぶことが
でき、掛金総額が320万円になるまで積み立てられ、払い込んだ掛金は、
税法上、法人の場合は損金、個人の場合は必要経費に算入することができます。

同制度の中で、貸付限度額である「3,200万円」を「8,000万円」まで引き上げる
のが、今回の改正案です。
これは、企業の倒産件数が増加し、1件当たりの負債総額も高額になり、回収
できなくなった売掛金債権の満額を借りることができなかった企業が、2006年度で
加入企業の約13%に達したためです。
限度額の引上げにより、この13%という数値が5%程度に抑えることができると
試算されています。
2008年には同制度の新規加入者が急増したものの、ここ数年では減少傾向が
続き、制度の運営が不安定になると指摘されています。
中小企業庁では、更に加入者を増やして不況の長期化による倒産増に
備えたい考えのようです。