現在も未だ、中小企業を中心に5万社以上に利用されている適格年金制度は平成24年3月末を以って実質的に廃止されます。 上場クラスの大企業では、既に適格年金から他の制度への移行を完了しているようですが、数多くの中小企業では、マダマダ手付かずとなっているのが実態のようです。 当事務所にも数多くの企業が、退職金問題で、コンサルティングを受けたいとの意向を寄せてきております。退職金制度は、人事・給与政策の一環ですので、各企業の経営・人事方針に基づき策定されるのですが、多くの中小企業では、「中退共」が利用(但し、中退共1本の退職金制度ではなく、退職一時金等他の制度との2本立て、3本立ての制度とする企業が比較的多い)されております。就きましては、以前にもご報告したことがありますが、改めて「中退共」の特徴を次の通り、纏めて見ました。 ①掛金が定額制であること・・・月額5000円~3万円の範囲の16種の中から選びます。年功色の強い基本給など給与と無関係に退職金の設計が容易にできるというメリットがあります。 ②最低利回りが法律で保証されていること・・・法律で固定的に定める利回り(2002年10月以降は年利1%)によって算出する基本退職金と、運用利回りが好調なときに上乗せ給付する付加退職金からなっています。他の企業年金にはない制度です。 ③2つの面で国の助成があること・・・1つは、制度運用の事務費や手数料を国が負担するため事業主、従業員にはかからないこと、もう1つは、初めて加入する企業や掛金を増額した企業に一定期間、掛金の一部を助成する制度があることです。これも他の企業年金制度には見られません。 ④いわゆる積立不足が発生しないこと・・・確定拠出年金が同じ特徴を持っています。 ⑤掛金に上限が定められているため、退職金にも上限があること・・・例えば掛金の上限3万円を40年間にわたって掛け続けたときの基本退職金は(現行の1%運用なら)1770万円です。実際には、若い頃の掛金は低額になるのが通例ですから、事実上の基本退職金の上限は1200万円前後になります。 ⑥自己都合退職と会社都合退職の差をつけることができないこと・・・自己都合と会社都合で退職金に差額を設ける場合は、中退共への積立は自己都合退職のときの退職金の範囲内にとどめ、不足分は他の制度で積立、支給することが必要です。 ⑦掛金が全額損金に算入できること・・・従業員の給与所得にもなりません。 ⑧年齢に関係なく、途中で退職したときも 支給対象になること・・・ これは適格年金や厚生年金基金でも可能ですが、確定拠出年金では認められません。 退職金問題については、何事に拘らず実績と経験豊富な当事務所に先ずご相談下さい! (06/03)