企業年金の持ち運び その1

(1)サラリーマンが勤務中の会社で積立てている企業年金(退職金部分)資産を、転職先に持ち運べる仕組みが今年の10月から拡充されました。つまり、今までは元の会社で年金資産を積立てていても、転職先に持ち運べず、定年退職時からの年金受給に繋がらないケースが多かったのです。

 例えば、現在40代半ばでそれまで数回の転職を経験した場合、前の会社に企業年金制度があっても退職時にはそれまで積立てられていた資金は転職先の会社に持ち込めない為、殆どが一時金で清算されてしまっているのです。だから、”一回の転職当り貰った退職一時金は30万円~50万円程度で、その金はいつのまにか使ってしまい、老後が心配だ”というケースが多かったのです。

 企業年金には現在、主として4種類の制度があります。旧来制度の代表としての厚生年金基金と税制適格退職年金及び2001年以降に制度が新設された確定拠出年金(日本版401K)と確定給付企業年金の4つです。
そして、これまで、転職の際に年金資産を持ち運べるのは、事実上、転職前も後の会社も日本版401K制度を導入している場合に限られていたのです。基金やその他の企業年金は、勤続期間が一定以上(おおむね10~15年以上)でなければ年金として受給できず(基金は基金連合会に持ち込む方法があります)、それより短期間で会社を辞めると、年金資産を一時金で清算せざるを得ませんでした。
(05/10)