大企業のサラリーマンが加入する健康保険組合の財政が、危機的状況
になっています。健保連がまとめた2011年度予算によれば、全国1447の
健保組合のうち約9割が赤字に陥る見込みだそうです。
しかも、これには震災による影響は含まれていません。更に、今後は
保険料収入の減少、医療費負担の増加によって一層の財政悪化が懸念
され、そのしわ寄せは現役サラリーマンに行くようです。
赤字補てんのため、保険料率の引き上げに踏み切る組合も多く、
2011年度中に保険料を引き上げる健保組合は全体の4割に上って
います。
健保組合の財政がここまで逼迫したのは高齢者医療問題です。
「多くの健保組合が赤字に転落するきっかけとなったのは
2008年に施行された後期高齢者医療制度。即ち、高齢者の
医療費を支えるため、健保組合が支援金を拠出することになり、
それが組合の財政を大きく圧迫した」といわれています。
さらに、現役世代の間ではメンタルヘルスの患者が急増しており、
病気で仕事ができない場合に給付される『傷病手当金』の支給額も
増えています。
これも組合運営に少なからず影響を及ぼしていると思われています。
こうした状況から、最近では自社の健保組合を解散し、中小企業の
サラリーマンたちが加入する「協会けんぽ」に移行する企業も
増えています。
では、もしそうなった場合、そこで働く従業員にはどんな影響が
あるのでしょうか?
「協会けんぽ」に移行すれば、健保組合ならではの手厚い補償や
福利厚生制度などが失われ、保険料の負担率だけがアップしますので、
当事者が感じるギャップは想像以上に大きいかもしれません。
解散までいかずとも、支出削減のため、福利厚生費を圧縮したり、
保険料率を引き上げる組合は今後も増える見込みで、高齢者医療制度の
抜本的解決がない限り、現役サラリーマンの負担は増す一方と
なるでしょう。
{11年8月1日)