新型コロナウイルスに関する騒動のなかで、大きく報道される
機会が減ってしまった印象の今国会審議中の改正法案ですが、
3月末に、従業員の70歳までの就労確保を努力義務とする
改正高年法(高年齢者等の雇用の安定等に関する法律)が
雇用保険法や労災保険法などとあわせて成立しました。
来年4月の施行とされています。
現在、平成25年改正により、65歳までの「高年齢者雇用確保措置」
が企業に義務付けられています。「高年齢者雇用確保措置」とは、
「定年の引上げ」「継続雇用制度の導入」「定年の廃止」のいずれか
の措置をいい、あくまで「雇用」を前提としたものになっていますが、
今回の改正では、65歳から70歳までの「高年齢者就業確保措置」
として、これらに加え、労使で同意したうえでの雇用以外の措置
(継続的に業務委託契約する制度、社会貢献活動に継続的に
従事できる制度)の導入のいずれかを講ずることを、企業の
努力義務にするとしています。
「再就職支援」、「フリーランス契約への資金提供」や「起業支援」など、
これまでの考え方にない措置が登場している点は注目に値します。
高年齢者就業確保措置の実施や運用の詳細については、
今後指針が出される予定です。施行まで1年と短いですので、
最新情報を注視していく必要があります。
今回の改正は、現状、努力義務とされていますが、将来的には義務化
も検討されています。高齢者の雇用については、年金法の改正による
老齢年金の受給開始時期の拡大や雇用保険法の改正などとも
密接に絡み合うものです。少子高齢化や労働力人口の減少は
避けられない状況の中、企業としても、高齢者雇用をはじめとした、
これからの雇用の在り方を抜本的に検討することが求められます。
(2020年4月27日)