「65歳までの雇用」義務化

 年明けの1月6日に、厚生労働省の労働政策審議会から、
「今後の高年齢者雇用対策について」と題する、
希望者全員の65歳までの雇用確保措置等を求める内容の文書が
発表されました。
今後、わが国の高齢者雇用対策はどのように動いていくのか、
非常に注目すべき内容が含まれています。

厚生労働省が昨年10月に発表した「平成 23 年 高年齢者の
雇用状況集計結果」によれば、現在の法律で定めている、
高年齢者を65歳まで雇用するための高年齢者雇用確保措置
(「定年の廃止」「定年の引上げ」「継続雇用制度の導入」
のいずれか)を「実施済み」の企業の割合は95.7%
(前年比0.9ポイント減)となっています。
また、希望者全員が65歳以上まで働ける企業の割合は47.9%
(同1.7ポイント増)、同じく70歳まで働ける企業の割合は17.6%
(同0.5ポイント増)となっています。

現行の年金制度に基づき、平成25年以降は、公的年金(報酬比例部分)
の支給開始年齢が段階的に65歳まで引き上げられることが決まっている
ことから、現状の高年齢者雇用確保措置のままでは、
「無年金・無収入」となる者が生じる可能性があります。
そこで、昨年9月から、厚生労働省内に設置された専門部会において、
「雇用」と「年金」が確実に接続するよう、希望者全員の65歳までの
雇用確保措置等について検討がなされており、今回の文書発表となりました。
この文書中に含まれる「希望者全員の65歳までの雇用確保措置」が
実施されるとなると、企業にとっては非常に大きな負担となります。
早ければ、今年の通常国会に改正法案が提出され、2013年度から施行
されるとも報道されています。
中小企業には猶予期間が設けられるとも言われていますが、
いずれにしても、今後の動きに注目しておく必要があるでしょう。
(12年1月26日)