6月の給与明細を見て、税金が5月より増えていると感じた方が
多いと思います。
国(所得税)から地方(住民税)へ税源移譲が行われた結果、多くの
家庭で所得税が1月から先行して下がったのに対し、住民税の増加は
仕組み上、毎年6月から反映されるためです。定率減税廃止による税負担
の増加も重なりました。
税源移譲とは、補助金に代わる地方公共団体の新たな財源として、国が
集めている税金のうちの一定の部分を、地方が集めることができるようにする
ことです。
国と地方の税財政改革(三位一体の改革)の柱の1つです。
「国税の一部を減らして地方税を増やす」ということなので、納税者の負担は
増えないとされています。
現在の自治体は国から補助金や地方交付税交付金などをもらって行政サービス
の財源を補っています。
三位一体改革は原則として補助金の削減に見合う額を、国から地方への税源移譲
で補うことにしています。
ただ、この方法ではもともと住民税の納税額が多い地域に財源が集まるという弊害
があり、大都市と地方の自治体で格差がつかないよう、公平に税財源を分け合う方法
が求められています。
所得税は従来の4段階から6段階になり、最低税率は10%から5%に下がりました。
住民税は一律10%に変わりました。
この結果、大半の世帯で所得税が減り、住民税が増える結果になります。
所得税と住民税を合わせた納税者の負担額は原則変わりません。
定率減税の全廃の影響も大きなものです。所得税では所得の20%(上限25万円)、
住民税では15%(同4万円)が減税となっていましたが、2006年分からは半減され、
2007年分からは全廃となりました。
残っていた半分の控除がなくなると、所得税は最大で年12万5,000円、
住民税は最大で年2万円増税になります。
ではなぜ、6月から変化が起きたのでしょうか。
所得税は1月から変わるのに対し、住民税は前年の所得に応じて翌年の
6月以降変化します。
このため、大半の世帯では1月から所得税が減っていましたが、6月からは
住民税率の上昇と住民税分の定率減税廃止が影響し、税負担が増えること
になったわけです。
東京23区など一部の市区町村では、国民健康保険料を算出する際、住民税額
に一定の比率を掛ける方法を用いるため、住民税が上がると保険料も
上がってしまいます。
このような自治体では緩和措置として控除枠を設けていますが、それでも保険料に
変化が出ることがあります。
国民保険料も毎年6月に算出されるため、6月分の金額を確認してみることをお勧めします。