厚生労働省の中央最低賃金審議会では、2010年度の地域別最低賃金(時間額)
の引上げの目安を全国平均で15円にすると答申していました(現在の713円から7
28円へ引上げ)。
その後、各地方最低賃金審議会による調査・審議が行われ、9月9日までに
すべての地方最低賃金審議会で答申があり、引上げの目安は全国平均で17円
となり、最終的な全国加重平均額は730円となりました。
答申された最低賃金額は、今後、都道府県労働局において、関係労使からの
異議申出に関する手続きを経たうえで正式に決定され、10月から発効の予定です。
最低賃金は、使用者が労働者に支払わなければならない賃金額の最下限値です。
中央最低賃金審議会が定めた目安を基に47都道府県ごとに定められ、最低賃金に
違反した使用者には罰金が科せられるとされています。
政府は、2020年までの目標として「できる限り早期に全国最低800円を確保」と
合意しています。
今回も大幅な引上げについて議論されましたが、使用者側は最後まで慎重な
姿勢を崩しませんでした。
政府目標は「2020年度までの平均で、名目3%、実質2%を上回る経済成長」が
前提となっており、中小企業の生産性向上の取組みや、中小企業に対する支援など
が課題となっています。
これらの前提条件が実現せず、施策の実効性がないまま最低賃金のみが大幅に
引き上げられれば、企業の経営に影響し、雇用の喪失につながるとの懸念が
あります。