日中社会保障協定

「社会保障に関する日本国政府と中華人民共和国
政府との間の協定(日・中社会保障協定)」の効
力発生のための外交上の公文の交換が、5月16日に
北京で行われました。
これにより、令和元年9月1日から協定の効力が
生ずることになります。
昨年5月に日中の間で署名が行われましたが、日本側
では社会保障協定は条約に該当し、国会の承認を得る
ことを必要としたため、発効までに時間を要したものです。
 社会保障協定は、①「保険料の二重負担」を防止する
ために加入するべき制度を二国間で調整する(二重加入
の防止)、②保険料の掛け捨てとならないために、日本の
年金加入期間を、協定を結んでいる国の年金制度に
加入していた期間とみなして取り扱い、その国の年金を
受給できるようにする(年金加入期間の通算)、ために
締結しています(ただし、イギリス、韓国、イタリアおよび
中国については、①の保険料の二重負担防止のみ)。
 現在、日本は、ドイツ、イギリス、韓国、アメリカなど22カ国
と協定を署名しており、うち19カ国は発効しています
(署名済未発効の国:イタリア、中国、スウェーデン)。
 これまで、日・中両国の企業等からそれぞれ相手国に
一時的に派遣される被用者(企業駐在員等)等には、
日・中両国で年金制度への加入が義務付けられていたため、
年金保険料の二重払いの問題が生じていました。
日中社会保障協定は、この問題を解決することを目的としており、
この協定の規定により、派遣期間が5年以内の一時派遣被用者は、
原則として、派遣元国の年金制度にのみ加入することとなります。
要するに日本から中国に5年以内の期間を予定して派遣される人は、
中国の年金制度に加入する義務は免除され、引き続き、国民年金
または厚生年金に加入するということです。
一方、中国から日本に同様に派遣されてくる人は、日本の年金制度
への加入が免除され、引き続き、中国の年金制度に加入し続けること
になるのです。
在中国在留邦人数(永住者を除く)は、121,095名(うち民間企業
関係者(本人)70,135名)に上ります(平成29年10月現在)。
協定が発効すれば、企業、駐在員等の負担が軽減されますし、
さらに日本企業の競争力向上や日・中両国の人的交流が一層
促進されることが期待されています。

(2019年6月27日)