製造業の定年(停年)

当社は、定年年齢を、事務職は65歳、製造職は、60歳(製造職は高年齢になると肉体的に厳しくなるため)と定めてありますが、B社員が”同じ会社でありながら、定年年齢が違うのは、違法である”とのクレームをしてきました。どのように考えたらよいのでしょうか?
この場合、会社が製造職と事務職との間に定年年齢の差を設けた事には合理的な理由があり、且つ範囲も妥当なものであるかどうかが ポイントとなります。一般的に製造職は肉体的な条件が事務職より厳しく問われるので、両職種の間の定年年齢格差は有効と認められるでしょう。定年に関しては、職種という事をひとつの基準にして考える事が重要です。社員に必要とされる能力、適性は、職種によっておのずと異なるものです。加齢による職務の遂行能力の減退の時期にも、やはり職種によって違いが生じるのは事実だと思われます。ですから、職種が異なる以上、同じ会社に所属する社員の間で、異なる定年年齢を定めたとしても、その差が合理的な範囲と認められる限り、差し支えないことになります。但し、会社としては能力、労働意欲のある人間を定年というだけで切り捨てるのは会社利益に反する場合もあるでしょう。能力・意欲のある人は、定年年齢に達しても同職種(製造職)での再雇用または、より高い定年年齢の職種に配転するなどの措置を取る等により活用を考えた方が望ましい場合も多いと思われます。