厚生労働省は平成31年「就労条件総合調査」の結果を公表しました。
本調査によれば、年間の年次有給休暇の平均取得率は52.4%で、
前年に比べて1.3ポイント上昇しています。
取得率を企業規模別にみると、「1,000人以上」が58.6%、
「300~999人」が49.8%、「100~299人」が49.4%、
「30~99人」が47.2%となっており、規模により最大10ポイント近くの
差がみられました。
なお、本調査は平成30年の1年間の状況について調査を行った
ものですので、本年4月に施行された改正労働基準法による
年次有給休暇年5日取得義務化前についての調査になります。
また、公表された調査によれば、週休制の形態別適用労働者割合
をみると、「完全週休2日制」が適用されている労働者割合は
57.0%とありますが、その割合は企業規模が小さくなるほど低く
なっています。
年間休日総数についても、1企業平均は108.9日、
労働者1人平均114.7日となっていますが、いずれも大企業ほど多く、
小規模企業ほど少なくなるという傾向は変わりません。
本年4月から、働き方改革法に伴う年次有給休暇年5日取得義務化が
適用されています。
有給休暇取得率の低さについては以前から問題となっていましたが、
法律の規制がかかったことで、企業でも取得率向上に向けた取組みが
本格的に実施されているところでしょう。来年の調査結果が注目されて
います。
上記の調査結果の通り、中小企業ではもともと休みが少ないという
実態があります。それにはそれなりの理由があるのでしょう。
現在、働き方改革による大企業の残業時間削減のしわ寄せが
中小企業に及んでいるという問題も指摘されており、厚生労働省も
「しわ寄せ防止特設サイト」を設けて防止を呼び掛けています。
そのため、特に中小企業にとっては、有給休暇取得義務化への
対応は困難となることが予想されますが、根本的な問題への対応を
検討しつつ企業として最大限の取り組みを期待したいところです。
(2019年11月28日)