会社分割の場合、社員に転籍拒否権があるの?

当社は、食品メーカーですが、今般、会社分割方式で外食部門を 分社化することになり、新設される外食事業への転籍を社員にもちかけましたが、この転籍に 納得がいかないようです。この場合、社員に転籍拒否権はあるのでしょうか?
転籍の際は、それまで勤務していた会社との労働契約を 打ち切り、別の会社と新たな契約を結ぶことになります。
一般的にはグループ会社への転籍が多いでしょうが、
社員には「会社が変われば労働時間や給与などの条件が悪くなる
のではないか?」という不安もつきまといます。

このため、転籍を拒んで解雇された社員が会社を訴えた過去の裁判では、
「個別の同意が必要」とする判決が多いようです。

この原則が一部変更されたのが2001年の改正商法で、企業が
事業部分を社員ごと切り離す「会社分割ルール」が盛り込まれ、
同時に施行された労働契約承継法では、分割される部門の社員は
別会社にそのまま引き継がれることになりました。

会社分割に伴って転籍する社員の労働条件は同じまま
引き継がれますが、会社は社員と個別の同意なしで
転籍させられるようになったのです。

しかしながら労働契約承継法は、会社分割で転籍を通知された
社員が、分社化される事業にどの程度かかわっているかで、
転籍を拒否できるかどうかの権利に差を設けています。

分社化される事業にも携わっているが「主として従事していない」
社員は、転籍を通知された場合に会社に対して異議申立てを行う
ことができます。

反対に、分社化対象事業に「主として従事している」社員が
リストアップされた場合は、異議申立てができません。

また、主として従事しているにもかかわらず転籍を通知されなかった
社員は、異議申立てをして転籍することができます。
会社分割に伴って転籍させる社員を選ぶ際には、会社には合理的
説明が求められます。