- 当社では、社員が地方への出張のために、早朝に出発したり、帰りが深夜になってしまったりすることがあるのですが、通常の通勤とは異なるこれらの移動時間は残業として割増賃金を支払わなければならないのでしょうか?
- 労働基準法には、労働時間の内容を細かく定義した条文はありません。 行政解釈上は「使用者の指揮監督下にある時間」とされており、 実際に仕事をした時間のほか、次の仕事に備えて待機した時間も 労働時間に含まれます。
例えば長距離トラックの運転手が、2人で交代しながら運転するような場合、
1人が運転しているときにもう1人が助手席で仮眠していても、
それは待機時間であり、労働時間として計算されます。
これは移動そのものが仕事と解されるからです。但し、原則として、出張先に向かう移動時間は通勤時間と同様で、
労働時間とはいえないと解されています。
つまり、出張先で法定労働時間を超えて働けば、時間外労働として
割増賃金が発生します。
しかしながら、早朝や深夜であっても移動時間であれば
時間外労働には当たらず、割増賃金も発生しないということになります。
同様に、休日明け朝一番に地方で仕事があるため、前日の夜に
現地入りしたとしても、休日の移動時間は労働時間にはなりません。とはいうものの、取引先に向かうだけの移動も、目的は当然仕事です。
本来ならば好きな場所で好きなことができる通常の休日と違って、
出張のために休日移動する時間は、それ自体は労働でなくとも
行動の制約を受けます。
その実態に鑑みて、多くの企業は出張の距離や所要時間などに
応じて「手当」や「日当」を支給しています。支給額などをめぐる争いが起きないよう、会社側は手当や日当の性質、
支給基準を明示する必要がありますし、社員も内容を確認しておくことが
重要といえます。