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- 当社は、派遣業を営む会社ですが、自動車関連部品の下請けメーカに派遣している日系人の派遣社員がプレス機械で指を切断する事故に遭ってしまいました。この場合、外国人でも労災保険を受けたり、損害賠償をメーカーに請求したりできるのでしょうか?
- 労働基準法は、国籍を理由に労働条件を差別することを禁止しています。 そのため、外国人労働者であっても、当然に労災保険法は適用されます。 損害賠償については、実質的に労働者を指導・監督し、安全配慮を行う義務 を持ち、それを怠った派遣先のメーカーに請求することになるでしょう。
通常、後遺症が残るようなケガの損害額は、一般的に67歳まで働いた場合に
見込まれる収入額をもとに逸失利益を計算して算出し、
それに慰謝料が加算されます。家族とともに定住している場合など、
合法的な外国人労働者の逸失利益は日本人と同様に算定し、慰謝料に
ついても、後遺症の等級認定や入通院費などをもとに、日本人と同じ基準で
算定するのが一般的です。
しかし、もしも不法就労であった場合には、損害賠償額が日本人より
少なくなる可能性があります。在留期間を過ぎていたパキスタン人が
労災事故で後遺障害を負って損害賠償を求めた訴訟で、最高裁は、
不法就労の場合は長期的に日本で就労できないとし、事故後に退社してから
3年間は日本の収入基準で計算し、それ以降はパキスタンの収入基準で
計算するのが合理的としました(改進社事件:最三小判平9.1.28)。
パキスタンの収入は日本の5分の1以下とされ、結果、賠償額は日本人に
比べると少額になりました。
不法就労の外国人への賠償額が通常の日本人より少ないという判決には、
危険な仕事を不法滞在の外国人にやらせることを助長するのでは、という
懸念もあります。
こうした懸念への対策として、不法就労者自体を減らすことが必要です。
そのためには、不法就労者の雇用について、罰則をより厳罰化することなども
選択肢の1つとして検討されています。