新型コロナウイルス問題はまだまだ拡大を続けていますが、
小学校の臨時休校で仕事を休む従業員への対応に関し、
日本郵政グループが年次有給休暇の取得を優先し、特別有休
休暇の付与は年休を使い切った場合に限るとする方針を示した
ことが問題となっていました。その後、この方針を撤回したとの
報道がなされましたが、法的に見れば、この日本郵政グループの
対応は問題ありません。勿論年次有給休暇の取得を強要したと
すればそれは問題ですが、今回の事案は使用者の責に帰すべき
事由による休業ではありませんので、休業手当の対象には
なりません。よって、従業員が休む場合は無給が原則であり、
特別有給休暇を付与するというのは法律を超える恩恵的な取扱い
となります。然し、国として8,330円までは助成金を支給するという
方針を出したことにより、今回の日本郵政グループのような対応を
行うことが「ブラック企業」との印象を与えることとなる恐れが
高まってしまったのかもしれません。
ところで、この取扱いに関し、世間の企業はどのような対応を行う
方針にあるのでしょうか?それを大阪商工会議所が調査した結果
(新型コロナウイルス感染症への企業の対応に関する緊急調査)が
公表されています。
なお、この調査の実施時期は2020年3月3日~10日で、調査対象は
同会議所の会員企業489社となっています。
政府による学校休校措置を踏まえた、子育て中の従業員の勤務や
休暇取得についての対応については、日本郵政グループ同様の
「有給休暇の取得奨励」が43.6%で最多となり、「特別有給休暇の
付与」の17.5%、「在宅勤務・テレワークの実施・拡大」の16.4%が
続いています。また「特段の対応は取っていない」も35.3%と
なっています。
これを資本金別で見ると、資本金3億円超の企業では、
「有給休暇の取得奨励」58.5%、「在宅勤務・テレワークの
実施・拡大50.9%、「特別有給休暇の付与」43.4%となっている
のに対し、資本金3億円以下の企業では、「特段の対応は
取っていない」が41.9%で最多となり、「有給休暇の取得奨励」は
40.1%、「特別有給休暇の付与」は11.3%に止まっています。
このように企業規模により大きく対応の差が見られています。
(2020年3月28日)